唾液の抗菌パワーと母乳
2020.11.24幸代のひとりごと秋の深まりと共に新型コロナウイルスの感染者数も増加し、感染予防の必要性が一層高まっています。
ウイルスが口から侵入するのを防ぐためにマスクが活躍していますが、口の中のだ液もそれを助けています。だ液の中には、ウイルスや細菌などと結合して、その増殖を抑える、IgA抗体やラクトフェリン、ペルオキシダーゼ、リゾチームといった抗菌作用を持つ物質が含まれています。つまりだ液は、体内に入ろうとしているウイルスや細菌と体の入り口で戦って体を守ってくれているのです。
その効力は、だ液の量や質で変わるそうです。量を増やすには、よく噛むこと、軽い運動、自律神経を整えるように規則正しい生活をするなどが大切です。また、舌を刺激するように軽く数回ブラッシングするなども効果的だそうです。また、だ液の質を良くするには、水分を十分に摂ることや栄養バランスの良い食事を摂ることが大切ですし、発酵食品に含まれるビフィズス菌や乳酸菌はだ液中のIgA抗体を増やしてくれます。
ところで、赤ちゃんが母乳を飲むことと、だ液についてはどうかというと、赤ちゃんが母乳を飲んでいる時にその顎の動きを見ていると母乳が涌いてきた時に、顎を大きく動かしながら、ゴックン、ゴックンと飲んでいるのがわかります。これは、人が物を噛む時の動作と同じで、だ液の分泌を促します。母乳の分泌には、陣痛のように波があって、涌いていない時赤ちゃんはクチュクチュと刺激するように小さく口を動かすのですが、その刺激で母乳が涌いてくると、こめかみのあたりまで大きく顎を動かし、乳首にクルッと巻き付けた舌で波を打つように動かしながら、乳汁を口の奥へ送り込むのです。その顎の動きは、乳房の状態が良好で美味しい乳汁の時ほど、はっきりとゴックンゴックンと大きく動かしています。こうして、しっかり顎を動かしだ液の分泌も促しているのです。
そして、この動きは赤ちゃんにとって全身運動にもなっています。夏に授乳したことのあるお母さんは良く分かると思いますが、赤ちゃんは母乳を飲みながら汗びっしょりになっていますよね。他のシーズンでも母乳を飲むと赤ちゃんの体はホカホカ温かくなります。赤ちゃんにとっては、母乳を飲むのはいい運動なのです。
そして、だ液の中のIgA抗体を増やしてくれる、ビフィズス菌や乳酸菌ですが、母乳の中には、ミルコオリゴ糖というのが含まれていて、これが、赤ちゃんの体の中のビフィズス菌や乳酸菌のエサになり、善玉菌が活発に動けるようにしてくれているのです。
このように、母乳は赤ちゃんの体をウイルスや細菌から守ることにも役立っています。
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